こんにちは!ワイポケのKYONです。こちらでは、私が経営する、少人数制スタジオ事業についての事、仕事や自分の人生の生き方についてをお伝えしていきます。

たまに頂く問いに、

「なぜ会員制なんですか? 都度払いはないんですか?」

そんな声をいただくことがあります。

たしかに、都度利用は便利です。予定に合わせて自由に通えますし、その場限りの気軽さもある。お店にとっても、集客の敷居を下げ、短期的には利益につながるやり方です。

でも、私はあえてその道を選びませんでした。

なぜなら、“気軽さ”の裏には、つながりの希薄さが潜んでいると感じたからです。

「通う場」ではなく「関わる場」をつくりたい

都度払いの仕組みでは、お客様との関係は基本的に“その日限り”です。

• 名前を覚えられなくても困らない

• 体調の変化にも気づきにくい

• 継続の責任も、お互いに持たない◀︎特にここ

こうした関係性の中では、深く寄り添うことは難しくなります。ましてや、その人の”人生”に関わるような関係は、生まれにくい。

私は、ただの「フィットネスの場」をつくりたいのではありません。

その人の人生の流れの中で、「ここがあってよかった」と思える場所をつくりたかったのです。

「場」は関係性によって育つ

どんな場所も、物理的な空間だけでは成り立ちません。そこに関係性があることで、初めて「意味」が生まれます。

会員制とは、単なる料金体系ではなく、「この関係性を大切にしたい」という意思表示です。

• 私たちはあなたのことを知りたい

• 過去や目標、体調や変化を記憶したい

• あなたがここにいる時間に責任をもちたい

この思いを、都度利用では十分に表現できないと感じたのです。

「継続する力」は関係性に宿る

都度利用は自由ですが、継続のハードルが高くなります。今日は疲れたからやめておこう、次は気が向いたら行こう…。そんなふうにフェードアウトしてしまう方を、私は何人も見てきました。

でも人は、誰かに見守られていると感じるだけで、驚くほど続ける力が湧いてくるものです。

「自分のことを知っていてくれる人がいる」

「行かなかったら気にかけてくれる人がいる」

「またここで、頑張ろうと思える居場所がある」

会員制とは、そうした心理的な“つながり”を前提にした仕組みです。

都度利用を否定するわけではありません

もちろん、都度利用にはメリットがあります。時間の制約がある方、まずは試してみたい方、色々な場所を体験したい方。そうしたニーズがあるのも理解しています。

でも私たちは、「この場所に根を張って、続けたい」と思ってくださる方と、一緒に時間を重ねていきたいのです。

それはビジネス上の選択というより、生き方の選択に近いのかもしれません。

私の前職も、会員制のクラブでした。

私はずっと「会員制ビジネス」に携わってきた人間です。

でも、いざ自分が経営する立場になってみると、かつてと同じ“会員制”という言葉でも、そこに込める意味と感情は、まったく違うものになっていることに気づきました。

「規模」と「関係性」のすれ違い

前職では、会員数は何百人、あるいは千人単位。

現場の実情は全員の名前を覚えることすらままならないこともありました。

• 顔と名前が一致しない

• 一人ひとりの背景を知らない

• 来なくなっても“数字”として処理される

それでも“会員制”でした。確かに仕組み上は。でも、それは本当に“つながっていた”と言えるのか?

これは、「会員制」という建前をもった「ごっこ遊び」だと思いました。

会員制とは「仕組み」ではなく、“在り方”の問題だということです。

• 名前を呼ぶ

• 小さな変化に気づく

• 心の距離を縮め、人生に寄り添う

こんな当たり前のひとつの営みを何百何千という会員数の規模では”制度”として捉えてしまいます。

相手に本気で向き合った時、会員制は“制度”から“信頼関係”へと変わっていきます。

こんなことは、社員としてフィットネスクラブに属している限りは到底考えることはできなかったと思います。

そして、レッスンでしか足を運ばないようなクラブでも同じことが言えます。

正直に言えば、会員制は効率的ではありません。不特定多数に一斉に発信して売るほうが、短期的には儲かります。でも、私はこう思うのです。

「一人の人生と丁寧に向き合うビジネスほど、美しいものはない」と。

今日も店に来てくれるあの人の人生に、ほんの少しでも関われること。それがスタジオを営む喜びであり、生きる喜びでもあります。

今いる、通ってくださるメンバーの空間を守るのが私の、“私がワイポケを作った責任”です。

「健康のためなら死んでもいい」

というジョークに富んだ本がありますが、

「今いるメンバーのためになるのなら、ワイポケを潰してもいい」

それくらい、会員制ビジネスは「会員」と共にある。と思っています。

この店が、誰かにとっての「居場所」になれたら。

この空間が、「わたしに還れる場所」になれたら。

そんな想いを込めて、私はあえて「会員制」という道を選びました。

効率や売上を超えた、関係性の深まり。

ただのビジネスを、人生の営みに変えるしくみ。

会員制とは、「人と人とのつながりにこそ価値がある」という信念のカタチです。

すこし暑苦しい話になりました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。